2006年度卒業
梶野真未Mami Kajino
日本放送協会勤務
梶野真未
ST. MARGARET'S JUNIOR & SENIOR HIGH SCHOOL
2006年度卒業
梶野真未Mami Kajino
日本放送協会勤務
2000年、立教女学院中学校入学。中学3年生で生活委員会委員長、高校2年生で生徒会長を務める。2007年、同高等学校卒業後、立教大学社会学部メディア社会学科に入学。2011年卒業、日本放送協会(NHK)入局。静岡局、福岡局を経て、現在はニュース制作に携わる。
「生徒会長に立候補したって本当なの?」
高1の冬。真っ青な顔をした母に問い質されました。昔の私は、引っ込み思案で、自分を出すのが恥ずかしく、他人の陰に隠れているような子だったんです。
立教女学院に入学したばかりの頃は、どうやって溶け込んでいこうかと思いましたが、内部生の子がどんどん声をかけてくれたので、馴染むまでに時間はかかりませんでした。慣れてくると、みんな個性的で、動物園のように騒がしくて、元気がありすぎて。先生方によく怒られましたね、「静かにしなさい」と。自分の意見をはっきり言う子もたくさんいて、ときに、意見の違いでぎくしゃくすることもありました。でも何となく丸く収まるんです。私は私で、あなたはあなただよね、と受け入れていく感じ。誰も他人の意見を否定しないので、自分の意見を言うのは別に何てことはないんだ、自分を出してもいいんだと気付いて、積極的になりましたし、明るくなったと思います。
生徒会長選には、出ようかどうしようか迷ったんです。そんなとき、友達が「やりなよ。何なら私が推薦状を書くよ」と背中を押してくれて。彼女は、優秀で知的で、私は彼女を尊敬していたこともあり、立候補を決めました。リーダーとしてみんなをまとめていく立場になって悩んだことも多々ありました。私ひとりじゃどうにもならないと気付いて、常に周りに相談していましたね。新しく部活をつくりたいという要望が出たときには、副会長と、校長先生に直談判に行ったこともありました。一つ一つの経験が、自信につながったと思います。自分だって頑張れば、100%ではなくても何とか出来たじゃないかと。それに、私の弱いところや良いところ、悪いところを全部知った上で、今でも仲良くしてもらっている友達ができたことは一生の財産かなと思っています。
現在は、NHKでニュース制作に携わっています。高校生の頃にはまったく考えていなかったんですけど。高3の土曜集会で『ホテル・ルワンダ』という映画を観たんですが、劇中に「テレビの向こうでひどいことが起きているけれど、こっちでは大変だねと言いながらも食事を続けている」というような言葉があり、ずっと心に刺さっていました。それが、大学時代に、誰かに伝えてわかってもらえた時の喜び、楽しさを知って、今の仕事へとつながっているんだなと感じています。
今は何でもすぐに調べてわかる世の中ですけど、でもやはりそれには限界がある。私たちは仕事をするうえで、この人にこういう想定で話を聞けばこういう言葉が返ってくると、ある程度推測するのですが、実際にお会いすると、それ以上の言葉が返ってきたり、それ以上のものを与えてくださったりということが、とても多いんです。直接自分の目で見たり、実際に相手と話したりしないとわからないことってすごく多いんだなと実感しています。
漠然としていますが、昨日よりも今日が少しでも良くなるようにと思いながら仕事をしています。私たちの職業は、自分たちの言葉一つ取っても誰かを傷つけるかもしれないし、救うかもしれない。常にそう肝に銘じて、楽しいものは楽しいと伝えていく。上司や取材先から教えてもらいました。そういう覚悟をもってやりなさいと。立教女学院でも、自分を持つことの大切さを学びました。「私はこう思っているけど、あなたはどう思っているの?」と話し合い、違う意見でも認め合い、そしてすり合わせていった6年間でした。これからも、自分の意見をしっかりと持って、目下のところは、よりわかりやすく伝えるためにはどうしたらいいか、突き詰めていきたいと思います。