森末ちなみ

2007年度卒業

森末ちなみChinami Morisue

全日本空輸株式会社勤務

Profile

2002年、立教女学院中学校に入学。在学中は中央委員や放送委員を務める。2008年、同高等学校卒業後、早稲田大学基幹理工学部を経て航空大学校にてパイロットのライセンスを取得。現在は全日本空輸株式会社(ANA)で副操縦士として勤務。

「凛とした女性になりなさい」という言葉の意味

特に、楽しかったのは行事です。盛り上がりましたね、クラスが一体となる感じで。高3の合唱交歓会では、放課後、練習しているうちに下校時間となってしまい「どこかで歌おう」とみんなで井の頭公園に行ったこともありました。聞いてくれる人もいて楽しく歌えましたね。結果として、優勝できたので大きな達成感も味わうこともできました。それから、中高合同体育祭。有志で集まってチアダンスをやっていたんですけど、すごく楽しくて。中3の体育祭も印象に残っています。一大イベントは、クラス単位で競う40人41脚。一人でも転んでしまうと勝てないので、みんなで練習するんですけど、中には練習したくない人もいるわけです。練習したい人、やりたくない人、それぞれの意見がぶつかって、喧嘩になったりもしました。ぶつかり合う中で、それぞれの個性を受け入れ、クラスがまとまっていったように感じます。行事は全員参加型のものが多いので、自分を『出さざるを得ない場』でもあり、『出せる場』でもありました。そうした中で、自分の言葉が、周りに与える影響も学んだ気がします。「ああ、言い過ぎちゃった」とか。経験を重ねて人を思いやれるようにもなったと思います。

 

校長先生が常に言っていたこと

校長先生が、学内で流行語になるほど常におっしゃっていたのが「凛とした女性になりなさい」という言葉。今でも、心に残っています。言い続けることで意識を持たせてくれたのかな、「社会に出ても自立して、しっかりとした女性になりなさい」と。当時はどのような女性像かピンときてはいなかったものの、土曜集会で、海外でボランティア活動をされている方から直接話を聞く機会があったり、世界の貧困等に目を向けて活動している人たちの存在を知ることができて、自分も何かしなければと思うようになりました。

歯科医ではなくパイロットに!

高1で進路希望を提出するときには、小学校からずっと立教に通っていたので、他の大学に進学したいとだけ漠然と考えていました。それで、父が歯科医だという影響もあり、歯学部を目指そうと思ったんです。ところが、ある日、北海道旅行の帰りに飛行機から東京の夜景を見たんですね。ものすごく綺麗で。ずっと見ていられるパイロットっていいなぁと感じました。何か探さなきゃという思いと重なって、パイロットへの憧れが芽生えました。でも、どうしたらパイロットになれるのか、知識がまったくなかったので、調べつつも歯学部受験に向けた勉強をしていました。そうして、大学受験に臨んだもののすべて不合格。失敗して気持ちもリセットされたと言いますか、歯学部はやめてパイロットを目指すことにしました。やりがいという点でも、パイロットの現場はまだまだ男社会で、開拓者としてチャレンジできるんじゃないかと。そう考えたのも「凛とした女性になる」という言葉があったからだと思います。

私は、高校時代には「パイロットになりたい」なんて恥ずかしくて言えませんでした。でも、ある時、周りに言ってみると、すごく応援してくれて、情報もいろいろと入ってきて、自分の成長につながったと感じました。思ったことを言葉にして外に出してみると何か変わるかもしれない。そう実感しましたね。航空大学校に入学するときに、立教女学院の友達が贈ってくれた応援メッセージは、今でも宝物として大切にしています。

夢を与えることが恩返し

入社後は、ライセンスを維持するための試験も半年に1回ありますし、新たなライセンスの取得も必要なので、試験に向けて定期的に勉強している感じですね。今は機長になるのを目標に自己研鑽を積んでいます。さらに、女性がより良く働ける環境の整備にも携われたらと考えています。また、ANAにはやりたいことをやらせてもらえる土壌があるので、例えば航空教室など、子どもに夢を与えられるような場をつくっていきたいです。振り返ると、立教女学院も自由な校風でのびのびできる環境だから、自分がやりたいことをやれる、やりたいと思って行動に移せる人になれるんじゃないかと思っています。私もパイロットに憧れて、これまで頑張ることができたので、それを少しずつ、社会に返していきたいです。