高校3年生を対象とした特別講座「模擬裁判」を行いました

高大連携・産学連携プログラム

高校3年生を対象とした特別講座の一つに刑事裁判の「模擬裁判」があります。東京弁護士会の法教育委員会所属の弁護士の先生方(今年は計4名)のご協力を戴き、毎年2月に開催され、すっかり本校の恒例行事の一つとなりました。

(新型コロナウイルスによる2度の中止を含めて)19回目を迎える今年は、事前指導が2月20日、本番が同27日に実施されました。意欲に満ちた参加者26名が裁判官役(9名)・弁護人役(8名)・検察官役(9名)に分かれ、20日は各役ごとに担当の弁護士の方々による詳細な事前指導を受けた後、全員で本番に向けたリハーサルをして終了しました。今年の事件は、デパートのエレベーターの中で検察側証人(淀川茶々子:よどがわちゃちゃこ)のハンドバッグの中から財布を盗んだとして逮捕・起訴された被告人(豊臣末吉:とよとみすえよし)の窃盗容疑が成立するか否かが、争点となりました。(被告人役は今年も私が、対する証人役は高3担任教員が務めました。)生徒達は、各々の役ごとに割り振られたシナリオや諸証拠・文書を基本としながらも、 担当の弁護士の先生に相談したり仲間と知恵を出し合ったりしながら、懸命に準備を進めました。弁護人役は無罪判決を、検察官役は有罪判決を得るために、シナリオにはない独自の質問を考えたり弁論・論告を綿密に練ったりしたうえで、本番に備えるのです。

裁判当日は大教室を実際の法廷の形に設営し、そこを舞台にして被告人の有罪・無罪をめぐって文字通りの真剣勝負が繰り広げられます。今年も2時間半を超す長時間の弁護人側と検察官側の激しい応酬の後、最終的には裁判官役(多数決制を採るため、奇数名なのです)の9人が十分な合議の上で有罪か無罪かを決定し、約10名の傍聴人を含めた全員の前で厳粛に有罪判決を言い渡して模擬裁判は終了となりました。因みに、有罪か無罪かの評議では、9対0で有罪となったことが後に報告されました。

裁判終了後は、場所を移して(コロナ禍で中止をしていた)久々の茶話会も開催され、裁判に関することもそれ以外のことも、弁護士の先生方と長く懇談の機会を持てました。日常では決して経験することができない貴重な、そして何とも贅沢な時間を過ごすことができました。

なお、本校の模擬裁判の様子が、「東京弁護士会」のHP(「法・司法制度を学ぶ」>「有罪?無罪?-刑事模擬裁判」)に紹介されています。どうぞご覧下さい。

<社会科教諭:岸田宏史>