高校3年生を対象とした特別講座「模擬裁判」を行いました

高大連携・産学連携プログラム

高校3年生を対象とした特別講座の一つに刑事裁判の「模擬裁判」があります。東京弁護士会の法教育委員会所属の弁護士の先生方(今年は計6名)のご協力を戴き、毎年2月に開催され、すっかり本校の恒例行事の一つとなりました。

(新型コロナウイルスによる2度の中止を含めて)実に20回目を迎える今年は、事前指導が2月17日、本番が同25日に実施されました。意欲に満ちた参加者19名が裁判官役(5名)・弁護人役(7名)・検察官役(7名)に分かれ、17日は各役ごとに担当の弁護士の方々による詳細な事前指導を受けた後、全員で本番に向けたリハーサルをして終了しました。今年の事件は、デパートの食品売り場で検察側証人(中河原裕子:なかがわらゆうこ)のハンドバッグの中から1万円を盗んだとして逮捕・起訴された被告人(本元冬樹:もともとふゆき)の窃盗容疑が成立するか否かが、争点となりました。(被告人役は今年も私が、対する証人役は高3担任教員が務めました。)生徒達は、各々の役ごとに割り振られたシナリオや諸証拠・文書を基本としながらも、 担当の弁護士の先生に相談したり仲間と知恵を出し合ったりしながら、懸命に準備を進めました。弁護人役は無罪判決を、検察官役は有罪判決を得るために、シナリオにはない新たな証拠や独自の質問を考えたり、弁論・論告を綿密に練ったりしたうえで、本番に備えます。

裁判当日は大教室を実際の法廷の形に模して設営し、そこを舞台にして被告人の有罪・無罪をめぐって文字通りの真剣勝負が繰り広げられます。今年も約2時間にも及ぶ長時間の弁護人側と検察官側の激しい応酬の後、最終的には裁判官役(多数決制を採るため、奇数名なのです)の5人が十分な評議の上で有罪か無罪かを決定し、約40名の傍聴人を含めた全員の前で厳粛に無罪判決を言い渡して模擬裁判は終了となりました。因みに、無罪か有罪かの評議では、4対1で無罪となったことが後に報告されました。

裁判終了後は、場所を移して茶話会も開催され、裁判に関することもそれ以外のことも、弁護士の先生方と長く懇談の機会を持てました。日常では決して経験することができない貴重な、そして何とも贅沢な時間を過ごすことができました。

なお、本校の模擬裁判の様子が、「東京弁護士会」のHP(「東弁にできること」>「法教育プログラム」>「有罪?無罪?-刑事模擬裁判」)に写真で紹介されています。どうぞご覧下さい。

<社会科教諭:岸田宏史>